昨日の続きです。
2.26事件に遭遇した院長のお話は前回ご紹介したと思います。
もう一つ、実はこの院長に関わる歴史的な問題が明らかになってきました。
詳しい事は、またの機会にゆずりたいと思いますが、元々医者の家柄であったため、兄も医師であり研究者でありました。
実は、この兄が例の日本軍「731部隊」に所属していたようなのです。
ご存知でしょうかこの「731部隊」。
簡単に言ってしまうと、731部隊とは太平洋戦争の時、日本軍が医学研究の精鋭たちを集め結成した組織です。
中国で保留になった人たちを生きた実験材料として、感染症に罹患させたり、生体の解剖実験をしたり、毒殺するためのガスの研究をしたりと、戦争のためのありとあらゆる医学的な実験と研究を行った組織なのです。
当時731部隊の隊員たちは、実験に使う中国人たちを「マルタ」(おそらく丸太の意味)という隠語で呼んでいました。
既に人間の扱いでは無いのです。
当然のことながら国際的な捕虜の扱いや人道的な観点からもあってはならないことであり、大きな戦争犯罪でもありました。
それが証拠には、敗戦時には組織のあらゆるデータや関係施設が焼却爆破され、証拠隠滅が行われたことでも明らかでした。
もし機会があれば、ぜひともこの組織の実態や中国の人々に行った筆舌に尽くしがたい人体実験等について明らかにした書物もたくさん出ていますので、知っていただければありがたいと思います。
さて、本題に戻りたいと思います。
時々この院長が出張等をすると、いわゆる「代診」の医師を決めければならないのですが、そこは何といっても代わりの医師がドイツ語の読み書きができるかどうかで決められておりました。
「じゃあ前回と同じ薬を出しておきましょう」というような話になっても、院長のドイツ語の処方がわからないと途端にお手上げになるからです。
このように、医学医療界の「隠語」はドイツ語も混ざり合っているものがありますので、より複雑になっているようです。
ここでは、主なものを紹介したいと思います。
ただし、医療側でも「隠語」取りあつかいについては要注意なのです。
医療従事者として医療の現場でこういった隠語を知ることは、現場の状況を理解するうえで確かに大切です。
むしろよく芸能界で使われていると例えられますが「ザギンでシースー」(銀座で寿司)のような言葉を一般社会の中で使うとどうでしょうか?
あろうことか一般の社会の会話の中でも、わざわざ業界用語を自慢げに使う人たちもいます。
隠語はあくまで業界のなかだけで使われるべきです。
「手術」をあらわす「オペ」などは、すでに一般の方もよくご存知だと思います。
しかし、多くの隠語を一般の方は知りません。
医療従事者は患者さんにつたわる言葉でつたえることが何よりも大切です。
業界外の方に対しても「隠語」をついつい口にしてしまうようなことではいけないのだろうと思います。
それだけではなく、業界内部でもその「隠語」を知らない人に対して発信した場合、とんでもないトラブルが起こる可能性があります。
次回は医療業界の一般的な「隠語」をご紹介した上で、その言葉を使ったおかげで実際に起こった笑うに笑えない事件についてご紹介したいと思います。
つづく