昨日の続きです。
叔父にどうして「公正証書遺言」のようなアイディアが浮かんだのでしょうか?
聞いてみると、どうやら銀行からのアプローチがあったようです。
ある日、行員が訪ねてきて「あなたに万が一何かあったとき財産はどうするのか」と聞かれたそうです。
この時叔父は「公正証書遺言」が何であるか全く知らなかったようです。
子がいないので、甥や姪に迷惑をかけたくないという願いから話を進めたようです。
具体的には、銀行の担当者が公証人役場や公証人等と連絡を取り、最終的には「遺言執行人」としてある信託会社の弁護士を勧めてくれたようです。
これはあくまで推測ですが、いくばくかの預金が残っており、しかも子がいない家庭などの情報はおそらく銀行もつかんでいるでしょう。
後の揉め事を事前に処理しておくという意味では、銀行にとってもメリットがあります。
なおかつ、それらの手続きの中で諸費用をいただけるという経済的メリットもあります。
おそらく、それらが背景にあって、このようなサービスを進めているのではないかと思います。
この信託会社は「遺言執行」を専門とする会社で、弁護士たちが設立した法人です。
担当弁護士も何度か自宅に足を運んで具体的な事情を聞いてくれたようです。
もちろんその時には銀行の担当者も同席していたようです。
叔父はずらりと名刺を並べて見せてくれました。
戸籍謄本やら、土地と家屋に関わる書類等いろいろ集めることがあって大変だったようですが、何とか1年ほどかかって公正証書を作り上げたようです。
公正証書は、毎年しかるべき手数料を払って公証人役場に保管されています。
叔父の説明では、妻と自分がこれからも施設に入ったとして何とかやりくりできるだけの財産は確保できているとの事。
もし自分に何かあったときには、すべてを妻に譲り渡すということ。
もし必要な経費を全て支払い、なおかつ、少しお金が残るならば、それは妻が20年以上お世話になった施設に寄付させてもらうということ。
それらを主眼として書類は作成されているとのことでした。
私は正直言って「ありがたい」と思いました。
よくぞ準備したものです。
それと同時に、遺言執行に当たっていくつかの疑問も浮かびましたが、その時は叔父に確認することをやめておきました。
出来上がった公正証書の内容について、あまり具体的に質問をすると、叔父が困ったことになるのではないかと思ったからです。
次回は、私が思い浮かべたいくつかの疑問について調べたことを書いてみたいと思います。
つづく