昨日の続きです。
叔父が万一に備えて「公正証書遺言」を作ったというところまではお話ししました。
いろいろ説明を聞くうちに、いくつか疑問が湧いてきました。
まず第一の疑問です。
「遺言執行人」である弁護士は何をどこまでしてくれるのか?
例えば、葬儀や埋葬に関する希望があった場合そのようなことも行ってもらえるのか等です。
第二の疑問。
遺言によって全てを相続する妻。
しかし、この妻が万が一叔父より早く死亡すればこの遺言はどうなるのか?
これらの疑問を解決するために、1番手っ取り早い方法は「遺言執行人」である弁護士と直接話することです。
叔父に聞いたところで、正確な回答が返ってくるとは思えません。
なおかつ、一生懸命作った側からすれば、要らぬケチをつけられるように感じるかもしれないと思ったからです。
叔父が持っていた書類の中には、信託会社の大阪支店の連絡先チラシが入っていました。
この書類は叔父がなくなった後、親族の誰かがこの書類を発見したときは、速やかに信託会社に連絡してほしいという趣旨の内容が書かれています。
後日その書類の会社に連絡を取りました。
若い女性が対応してくれましたが、個別の質問については、直接弁護士からお答えするということでした。
ただし弁護士は外出して不在のため、連絡先を伝え折り返しの電話を待ちました。
2時間ほどで携帯電話が鳴りました。
当たり前にある「弁護士の◯◯と申します」と言う自己紹介から始まりました。
まず第一の疑問に対する回答です。
私から表現すれば「弁護士さん特有の少し早口の結論から先に表現する」話し方でした。
「ご本人の葬儀や埋葬に関しての希望や意見は確認もしていませんし、記録もございません。
どのような葬儀や火葬、納骨形式にするかはご親族で考えていただきたいし、その際、こちらから提案する事は何もございません。
またかかった葬儀費用等については一時お立て替えをいただき、後日精算する手はずとなります」
との事でした。
この通り「遺言執行人」とは、財産の管理と分配に責任を持つものであって、その他の様々な死後の手続き等は、やはり親族(もしくは依頼された人)がどうしても行う必要があるのです。
簡単に流れで説明します。
入院しても、退院し自宅で介護サービスや訪問看護を受けようとしても、必ず緊急連絡先が必要となります。
場合によっては保証人が必要です。
それは誰がするのでしょうか?
病院や介護施設、または自宅で死亡した場合死亡診断書をもらい、遺体を引き取り、役所に届けを出さねばなりません。
その事実を親族や知人に連絡する必要もあります。
役所で火葬許可証をもらい火葬し、それを埋葬許可証にして埋葬する(もしくはそれ以外の形)。
この場合菩提寺がない場合もあります。
またお通夜や葬儀をすることも場合によっては必要でしょう。
このように「遺言執行人」が仕事を始めるまでに終わらなければいけないことが山ほどあるのです。
つづく