ずいぶん栄えた江戸の町の食べ物について見ています。
やっぱり江戸のグルメが気になります。
江戸の4大名物グルメと言えば何でしょうか?
少し考えてみてください。
まずは、寿司、天ぷら、うなぎの蒲焼、そして
・・・・
なんといっても江戸っ子は蕎麦です。
落語で「そば清」という演目があります。
なんともシュールな落語ですので、気になる方はいちど聞いてみてください。
江戸時代「そば」の人気がすごかったということがすぐにわかります。
これは、上方落語の「蛇含草」と言う演目が変わったものです。
さて江戸の頃、そばの大食いの賭けがありました。
とんでもない大食いの男がいて、大食いの賭けにことごとく勝利していました。
悔しくなった客連中は、翌日再び店にやってきた男に30枚への挑戦を持ちかけますが、またしても男は完食します。
ことの顛末を知ったひとりの常連客が、「あの人は本名を清兵衛さん、通称『そばっ食いの清兵衛』といって『そば清』という、大食いで有名な人ですよ」と、金を奪われた客連中に教えます。
悔しさがおさまらない客連中は、今度は50枚の大食いを清兵衛に持ちかけます。
もちろん食べれば清兵衛の勝ち、食べられなければ客の勝ちです。
ところが清兵衛は自信が揺らぎ、「また日を改めて」と店を飛び出して、そのままそばの本場・信州へ出かけてしまいます。
ある日、清兵衛は信州の山道で迷ってしまいました。
途方にくれ、木陰で休んでいると、木の上にウワバミがいるのを見つけました。
清兵衛がウワバミの視線の先を追うと、銃を構える猟師がいましたが、ウワバミは一瞬の隙をついてその猟師の体を取り巻き、丸呑みにしてしまいます。
大きいものを食い過ぎたウワバミは苦しみますが、かたわらに生えていた黄色い草をなめると腹が元通りにしぼんでいくの清兵衛は見届けます。
「あの草は腹薬(=消化薬)になるんだ。これを使えばそばがいくらでも食べられる。いくらでも稼げる」と考えて草を摘んで江戸へ持ち帰ります。
清兵衛は例のそば屋をたずね、賭けに乗るうえ、約束より多い60枚のそばを食べることを宣言。
大勢の野次馬が見守る中、そばが運び込まれ、大食いが開始されます。
清兵衛は50枚まで順調に箸を進めたが、そこから息が苦しくなり、休憩を申し出て自分を縁側に運ばせ障子を締め切らせるのでした。
清兵衛は今がその時とばかり、信州で摘んだ草をふところから出しなめ始めます。
観客や店の者は、障子のむこうが静かになったので不審思いました。
一同が障子を開けると、清兵衛の姿はなく、そばが羽織を着て座っているのです!
例の草は、食べ物の消化を助ける草ではなく、人間を溶かす草だった!
というわけです。
どうですか?ずいぶんシュールな落語でしょ。
今日は「そば」で寄り道をしてしまいました。
つづく