昨日の続きです。
スウェーデンやドイツ、フランスは、日本よりも国民負担率が高いのですが、それには理由があります。
例えば、スウェーデンは自国民であれば、私立大学でも公立大学でも学費は無料になっています。
ドイツも公立大学は無料、フランスは政府が大部分の学費を負担している仕組みになっています。
イギリスは、地域ごとに大学の年間授業料が異なっています。
イングランドでは上限が9250ポンド(約150万円)と高額ですが、スコットランドの住民は、域内の大学の授業料が無料となっています。
ちなみに、2015年のOECD加盟国で、GDPに占める小学校から大学までの教育機関に対する公的支出の割合は、日本が2.9%で、比較可能な34カ国中で最下位になっています。
また、厚生労働省年金局が2018年7月30日に発表した「諸外国の年金制度の動向について」という資料によれば、公的年金の所得代替率(現役世代の手取り収入に対する公的年金給付の割合)は、日本が34.6%となっています。
一方、イギリスは22.1%、ドイツ38.2%、アメリカ38.3%、スウェーデン36.6%、フランス60.5%となっています。
しかし、スウェーデンでは、公的年金のほかに義務的に加入する私的年金があります。
それを加えた所得代替率は55.8%となっています。
イギリスも義務ではありませんが、多くの人が加入する公的年金給付を超える私的年金があります。
このように、日本は、社会保障や公的サービスの給付水準が低いのに、税金や社会保障負担率が非常に大きい「重税国家」となっているのです。
それでは、日本はどうして重税国家になってしまったのでしょうか?
消費税導入前の1988年度と2022年度にかけての負担を増の中で主なものを見てみましょう。
消費税収は、2022年度予算で21兆5730億円ですが、これは国税分だけなので、地方税を入れると27兆6577億円が国民に降りかかってきたことになっています。
次に大きいのが年金保険料率の引き上げで、例えば厚生年金の保険料率は12.4%から18.3%へと7.9%も引き上げられてしまいました。
その一方で、厚生年金の支給開始年齢は60歳から65歳に引き上げられました。
また、国民年金の保険料は月額7700円から16,590円と2倍以上に跳ね上がりました。
その他にも負担増はいくつもあり、東日本大震災の復興を支えるための復興、特別所得税は、2013年から所得税に2.1%上乗せする形で実行されています。
それ以降25年間続けられることになっていますが、最近の防衛増税との関係もあり延長される可能性がかなり高いと言われています。
つづく