昨日の続きです。
2022年10月からは中所得の後期高齢者の窓口負担が倍増されました。
これまでの制度では、後期高齢者の窓口負担は原則1割で、現役世代並みの所得の人(単身世帯で年収383万円以上)のみが3割負担になっていました。
ところが、今回新たに「中所得層」の区分を設けてその窓口負担を倍増させたのです。
実はこの中所得層の200万円という線引きはかなり微妙なのです。
現在の厚生年金受給者の平均年金月額は14万5665円となっています。
つまり年額は175万円になります。
年金が平均より少し高い人や、勤労収入がある人は、対象になる可能性が非常に高いのです。
実際に、私の知っている人でも80歳を超えてわずかばかりの漁業に従事していますが、この基準を突破してしまい、2割負担となっている方もいるのです。
政府の試算でも、窓口負担倍増となるのは、75歳以上の2割で370万人と見込まれました。
この窓口負担増は、2021年6月に成立した医療制度改革関連法で決まっていたのですが、実施時期については202 2年10月から2023年3月の間と時期を曖昧にしていました。
ところが、実際には、その中で最も早い時期に負担増が行ってしまったのです。
このように、負担増は庶民特に高齢者に集中して行われていると言っても過言ではありません。
その意味でも、論破系ユーチューバーのひろゆき氏の発言は、現実を正しく見ていないものと思われます。
社会負担増政策の犠牲者になったのは、高齢者だけではありません。
一般の勤労者世帯も同じです。
少し以前の私たちの暮らしと現在の暮らしを比べてみましょう。
総務省の「家計調査」を使って、消費税導入前と2021年度の家計の比較を見たものです。
まず、勤労者世帯の家計を31年前と比較すると、世帯主収入は474万円から533万円と12.5%増えています。
(いやいや!ほんとにこの数字は正しいのか?我が世帯主の収入は、この足元にも及ばないぞ!という声が聞こえてきそうですが・・・)
ところが、所得税と住民税を合わせた直接税は4万円増え、年金保険料や健康保険料等の社会保険料は41万円と111.3%も増えています。
税金と社会保険料を合計した、税社会保険料負担は45万円、50.1 %増となり、収入を圧迫するようになっています。
結果として、手取り収入は14万円、3.8%しか増えていないことになっていますHey。
ここで、税金と社会保険料だけを差し引いた世帯主収入は33年間で384万円から398万円へと3.8%増加しています。
ところがです!
この期間で消費税率が0%から10% (食料品は8%)に引き上げられているのです!
この消費税の負担額は、32万円にもなります!
つまり、消費税増税分も含めた税、社会保険料を差し引いた、世帯主収入の手取りは384万円から366万円と18万円も減少していることになっています!
つづく