昨日の続きです。
少し時間は戻りますが、パレスチナ側では、オスロ合意後、暫定自治政府のトップとしてパレスチナをまとめていたアラファト議長が2004年に亡くなります。
後を継いだのはアラファト議長と同じ、穏健派の政治勢力「ファタハ」に属していたアッバス議長です。
↑アッバス議長
和平派の指導者として期待されましたが、過激派を抑えるだけの力がなかったというのが大半の評価です。
それで、イスラム組織の「ハマス」に2006年の議会選挙で負けてしまいます。
いま話題になっている「ハマス」とは、イスラム教の教えを厳格に守ろうという人たちです。
「過激派」と呼ぶ人も多いのですが、軍事部門でイスラエルと武装闘争を続ける一方、慈善活動や教育支援で貧しい人の生活を支えたりもしています。
そのハマスは選挙に勝ったあと、2007年からガザ地区を独自に支配するようになってしまいます。
一方、ヨルダン川西岸はイスラエルと和平交渉を続けるという立場をとっている「ファタハ」が統治を続けています。
パレスチナが一体ではなくなってしまったのです。
このため、パレスチナ内での和平への足並みがそろわなくなってしまいます。
その結果、和平交渉そのものが、ほとんど行われなくなりました。
イスラエル側も、パレスチナ側にやる気がないのなら別に急がない、という態度です。
ファタハがやる気でも、ハマスがテロを繰り返すのであれば、そんな連中とは話ができないというようなことになってしまいました。
結局、今のまま現状維持でいこうという力のほうが強く働いてきたのです。
その後は今に至るまで、事あるごとに衝突が起きてきました。
ハマスがガザ地区からイスラエルに向けてロケット弾を撃ち、イスラエルが報復として空爆することの繰り返しです。
さて、いよいよ解決への道筋と国際社会の関わりを考えてみましょう。
世界中の国々がこの土地と結びついてしまっていることも、問題を難しくしています。
事実、この間も大きな動きがありました。
今年12月に入り、パレスチナのガザ地区の情勢をめぐり、国連のグテーレス事務総長が停戦を求めるよう安全保障理事会に要請しました。
このことを受けて、人道目的の即時停戦を求める決議案の採決が行われ、15か国のうち日本やフランスなど13か国が賛成しました。
ところがアメリカが拒否権を行使し決議案は否決されました。
ガザ地区の情勢をめぐり、国連のグテーレス事務総長は6日、就任後初めて国連憲章99条が定める事務総長の権限を使って、安保理に対し、停戦を求めるよう要請したのです。
これを受けて、UAE=アラブ首長国連邦が人道目的の即時停戦を求める決議案を提出し、8日、緊急会合が開かれました。
この中でグテーレス事務総長は「ガザの人たちは奈落の底をのぞいている。国際社会はこの試練を終わらせるため、あらゆる手段を講じなければならない。世界、そして歴史が見守っている。いまこそ行動のときだ」と述べ、即時停戦の必要性を訴えました。
そして、8日午後、日本時間の9日午前6時前から決議案の採決が行われ、15か国のうち日本やフランスなど13か国が賛成、イギリスが棄権しましたが、常任理事国のアメリカが拒否権を行使し、決議案は否決されました。
では、アメリカはどうしてこのように頑なにイスラエルを支援する理由は何なのでしょうか?
つづく