昨日の続きです。
アメリカには、政界にイスラエルの利益をなるべく反映させるように働きかける大きなユダヤ系のロビー団体があります。
大統領選挙では民主党も共和党も選挙資金を目当てに、ユダヤ系ロビーに気をつかうところがあります。
こうした背景もあって、アメリカは中東戦争以来、イスラエルに巨額の軍事援助を続けています。
イスラエルの立場や治安を守り、国家として存続できるようにする、というのが民主党政権・共和党政権を問わず、共通しているのです。
歴代政権の中でイスラエル寄りの姿勢が突出していたのが、トランプ政権です。
現職のアメリカ大統領として、初めてエルサレムにあるユダヤ教の聖地「嘆きの壁」を訪問した(2017年)
ちなみに、トランプ大統領が被っている帽子は「キッパ」と言います。
ユダヤ人男性が被ってる(載せてる、という方がいい)帽子で、ユダヤ教徒たちは信仰の証としてキッパを被り頭を隠すことで、頭上に神がいることを意識し、神に対して謙遜の意思を表す意味があると言われています。
キッパの色はその人の宗教度を表していて白や色、柄のものより、黒いものの方がより宗教的だそうです。
この写真は実に深い意味を持っていると思います。
彼が行ったことで一番極端だったのはアメリカ大使館をエルサレムに移設したことです。
イスラエルはエルサレムが首都だと主張していますが、国際法上、占領は認められていません。
ところが、トランプ政権は大使館をエルサレムに移設してしまいました。
一方でパレスチナへの支援を打ち切るなど、露骨にイスラエル寄りの政策をとりました。
このため、ただでさえ止まっていた和平交渉は、ますます進まなくなってしまいました。
バイデン大統領は、パレスチナ問題に取り組む姿勢を見せ、中東和平に取り組むだろうという多くの人の期待のもとに就任しました。
ただ、現実問題、アメリカの外交政策はなんといっても対中国が最優先です。
中東では、トランプ政権がご破算にしたイランとの核合意をいま一度結び直すという課題の方が優先順位として上になっています。
パレスチナ問題は後回しになっているのが実情なのです。
一方で、パレスチナを支援してきたアラブ諸国にも微妙な変化が生まれてきています。
つづく