昨日の続きです。
一方で、パレスチナを支援してきたアラブ諸国にも変化が出始めています。
わかりやすいように一応地図を貼り付けておきます。
エジプトとヨルダン以外のアラブ諸国はみな「パレスチナ問題が解決するまではイスラエルは認められない」という立場でした。
ところが、トランプ政権時代に和平交渉再開が絶望的になった中、UAE=アラブ首長国連邦やバーレーンが立て続けにイスラエルと国交を結んだのです。
今では、アラブの盟主を名乗るサウジアラビアも、イスラエルとの国交正常化を模索していると言われています。
パレスチナ問題が全く動かない中、イスラエルとしてはパレスチナを飛び越えてアラブの一部と和解できれば国際社会の中での活路が開けると考えました。
そこをうまい具合に当時のトランプ大統領が取り持ったのです。
このあと、スーダンやモロッコといった、アフリカのイスラム教の国も続きます。
パレスチナ問題が解決するまではイスラエルを認めないと言っていた「アラブの大義」の鉄則が崩れていったわけです。
パレスチナ人は裏切りだと怒りました。
イスラエルとアラブ諸国の一部が和解した、対立関係に風穴を開けたという点では評価できる面もあります。
一方、パレスチナ問題が解決しないまま置き去りにされてよいのかと思っている人たちもいます。
プラスの面とマイナスの面があり物事がより複雑になってしまったのです。
一方で国際機関はどう対応してきたのでしょうか?
国連の機関が懸命に、人道支援などの努力をしても、実際に物事が決まる安全保障理事会ではアメリカがイスラエルを擁護するわけです。
国連では、つい先日にもイスラエルへの避難決議にアメリカが拒否権を発動したことがありましたね。
イスラエルがガザ地区に侵攻するたびに、国連の安全保障理事会ではアラブ諸国が非難決議を採択しようとしますが、アメリカが拒否権を発動して、それをつぶしてきたのです。
アメリカは現在ウクライナとイスラエルに対しては全くダブルスタンダードの立場をとっています。
パレスチナ問題は、世界が置き去りにしているのが現状ですが、はっきりしているのは、ガザ地区には今も必要最低限の生活さえできない人たちがいるということです。
希望すらなくなり、イスラエルに占領され抑圧された状態で暮らす異常事態が進んでいます。
また、ヨルダン川西岸では、入植地がまだら状に広がっていて、40万人のユダヤ人入植者がこの土地に住み続けています。
本来パレスチナ人が望んでいた土地を取り戻す見通しは到底たたない、将来像が描けなくなっているのです。
今回のハマスによる大規模な攻撃がイスラエル側に多くの死傷者を出し人質が取られていることは、決して許されるものではありません。
一方で、イスラエルによる占領やガザ地区の封鎖が続いてきたことが、今回のような悲劇を招いたというのも事実です。
パレスチナ問題の解決がいかに困難だとしても、今のガザ地区におけるイスラエルの軍事作戦は既に「ジェノサイド」であると言われています。
イスラエルは一刻も早くガザ地区への攻撃を停止する必要があります。
今回のブログは、中東における宗教の歴史から始まり、現在に至るまでの混沌とした流れを自分なりに整理する目的で書かせてもらいました。
「その25」を持ちまして、この件については終わりにしたいと思います。
長い間お付き合いいただきありがとうございました。