みなさんは「不便益」というものをご存知でしょうか?
読んで字のごとく不便なるものが益となるという事ですが具体的にはどんなことなのでしょうか。
不便益とは、不便なことにメリットを見出す発想のことで、京都大学の川上浩司教授を中心に研究が進められています。
実例としては、京都大学で発売されている「素数ものさし」があります。
このものさしは20cmありますが、めもりは2、3、5、7、11、13、17のところ、つまり素数の部分にしかありません。
たとえば8cmを計ろうと思ったら皆さんならどうしますか?
少し考えていただけますか?
そうですね。
11cm-3cm=8cmと頭で計算してめもりの3から11で8㎝を取ります。
こうすることで、ただ長さを測るだけでも頭の体操になるといいます。
(しかし、いちいちそんなことやってる時間がもったいないような気も確かにします^_^)
昔小学校の先生にお話を聞いたことがあります。
長さを教えるときにセンチメートルから入りました。
そしてその先生は「米1粒の長さを測ってみよう!」と生徒に考えさせたそうです。
生徒たちは「ウンウン」とうなりながら知恵を絞りました。
結局、もっと小さな単位目盛りがないと測れないと気づいてミリメートルへ考えが進んでいくのだそうです。
ここまででいかがでしょうか?
不便益がどういうものか理解していただけましたでしょうか。
「不便益」という言葉。
英語なら、benefit of inconvenienceです。
一言でいえば、「不便でよかったこと」を指します。
大都市を離れた地方で生活をしていると不便だと感じることはたくさんあります。
たとえば外食したいとき、レストランの選択肢が非常に限られています。
ただ、選ぶ時間がかかりませんし、選んだあとの後悔もありません。
一見不便だとしても、実はいいことって結構あるようです。
効率性や合理性が追求され、社会は便利になりました。
ただ、これ以上に便利さを追い続けることでより豊かな社会が実現できるのかは疑問です。
例えば東京大阪を時速500キロで走り67分で結ぶというリニア新幹線。
日本アルプスの下をトンネルで抜いてつなぐというのですが、既に皆さんご承知の通り多くの問題が起こっています。
個人的には「ちょっと急ぎすぎ」ではないのかと思ってしまいます。
そうではなくてむしろ、逆方向(不便方向)に光があるのではないかという考え方もあります。
つづく