昨日の続きです。
原発が立地する15地域(福島を除く)のうち6地域で、広域の避難計画を含めた過酷事故時の「緊急時対応」が完成していません。
例えば 世界最大級の東電柏崎刈羽原発が立地する新潟県の話です。
2月7日、防災担当者会議が行われました。
議論が集中したテーマが「大雪の際に事故が起きたら避難できるのか」でした。
長岡市の担当者は「住民にとってテロより大雪の方が身近な脅威であり、大きな不安、リスクだ」と訴えました。
皆さんも、東北地方などで猛吹雪が原因で、高速道路で動けなくなった貨物車両の列のニュースをご覧になったことがあるかと思います。
もし、原発事故の時に大雪が襲えば、想像を絶する恐ろしいことが起こります。
支援も救援も届かず、多くの住民が雪の中で凍死してしまうような事態も生じるかも分かりません。
長岡市の担当者は、実際の大雪の際の避難を検証するよう県に要望を出しました。
恐ろしい話ですが、大雪の日に事故が起こった際、避難経路の想定さえできないのが現実なのです。
また東海第二原発は避難計画の対象となる30キロ圏内の住民が94万人もいます。
全国で最も多い避難対象者数です。
しかし、これだけ多くの人が一斉に避難できるルートや移動手段の確保ができていません。
行政や自治体も、運送会社やバス外車などに協力を要請していますが、移動に使える車両が全く不足しているのです。
加えて、運転手自身も被災者である可能性が高く、必要な運転手が確保できない可能性があります。
また、避難や移動に使う幹線道路の陥没や断裂なども容易に想像できます。
鹿児島県も19年3月、九州電力川内(せんだい)原発で重大事故が起きた場合、5キロ圏の住民らが避難場所まで移動する時間について、最大で60時間以上かかるというシミュレーションをまとめています。
避難場所に到達するまで、ほぼ三日かかるということなのです。
ここまで見てきたように、原発災害は進行形であり、東日本大震災の教訓も十分に生かしきれていない現状があります。
私たちはこのことを忘れてはいけないと思います。
一方、私たちとしても個人や家族・地域や職場でやっておかなければいけないことがあります。
それは自分自身を守る準備をしておくことです。
つづく