昨日の続きです。
毎日新聞は2月、47都道府県と県庁所在地、政令市、東京23区の計121自治体に廃棄量や廃棄理由、接種体制の課題などをアンケートで尋ねました。
全自治体から回答をもらった結果、モデルナ社製とアストロゼネカ社製を除く廃棄量は35万回分でした。
これらの数字を足し上げ、廃棄したワクチン量を約7783万回分と算出しました。
アンケートでは廃棄理由として、ワクチンの有効期限切れを挙げる自治体が多数でした。
モデルナ製ワクチンの有効期限は9カ月ですが、複数の自治体からは「有効期限が残り数カ月のモデルナ製ワクチンが届き、余らせないよう市町村間で調整したが一部は使用できなかった」(富山県)という回答があり、対応に苦慮した様子がうかがえます。
接種控えが廃棄につながったとの見方も多くありました。
高松市は「副反応を警戒した打ち控えが影響した可能性がある」と回答しています。
オミクロン株対応ワクチンの開発で従来型を希望する人が減ったことも影響しました。
前回にも書きましたが、ワクチン1回当たりの金額換算として「2725円」と記載されていたのは、財務省の財政制度等審議会の分科会の資料です。
予算額には配送料も含まれており、実際のワクチン価格とは異なりますが、購入単価はメーカー側と政府で秘密保持契約を結んでいるため、公表されていません。
この秘密保持契約自体が問題をはらんでおり、国会でも契約内容について質問が出されていましたが、「守秘義務」を理由に情報開示をされておりません。
また、アンケートでは今年11月までに47自治体で少なくとも70万回分の廃棄が見込まれていることも判明しています。
このように、実際の廃棄量は膨らむ見込みになっています。
赤沢学・明治薬科大教授(薬剤経済学)は
「ある程度のワクチンの廃棄は仕方ない。危機管理の面からもワクチンの在庫は必要だ。
一方で、人と出会う機会や移動が多い都市部の人を優先するなど、リスクに応じた運用を科学的に議論する余地はあったはずだ。
全ての人々に自治体を通じて満遍なく配り、効率性の視点が欠けた結果、無駄遣いにつながったのは否めない。今後に備え、検証が必要だ」
と指摘しています。
しかし、これに対する検証は、政権側から見れは政府の対応の「粗探し」と捉えられる可能性があり、検証が消極的になる可能性があります。
コロナ対策費用は、国民の税金です。
情報を開示して科学的に分析し、次の感染拡大に備える必要があると思います。