昨日の続きです。
食料の自給率を上げる事は「国の安全保障」問題として考えるべきであると言われてきました。
世界的に最も穀物自給率の高い国は、ウクライナで440%となっています。
ある意味、ロシアがウクライナに目をつけるのもこの数字を見れば意味があるように思います。
YouTubeなどを見れば、戦場となっている多くの場所は、広大な農地や牧草地でもあります。
身を隠すところはないので、両軍兵士たちはひたすら膨大な数の塹壕を掘っています。
なかなか想像しにくいですが、ほぼウクライナ全土が、見渡す限り山のない広大な北海道の農地のようだと想像していただければ良いかと思います。
品目別自給率というデータもあります。
同じく農林水産省の食糧需給表2021年度版によると、日本の品目別食料自給率は次のような数字になっています。
●卵類…… 97%
●野菜類…… 79%
●いも類…… 72%
●牛乳・乳製品…… 63%
●魚介類…… 59%
●肉類…… 53%
●果実類…… 39%
●砂糖類…… 36%
●油脂類…… 14%
●豆類…… 8%
(ただし畜産や鶏卵のための飼料は多くが輸入に頼っています。)
要するに100%に達しているもの、超えているものはないのです。
これでは食料自給率が100%に達するもの=自給できているものはほとんどありません。
そこで心配なのが、戦争や紛争など「有事」の際の対応です。
ドイツは石油の34%、天然ガス55%、石炭45%をロシアに頼っていたために、厳しい状況に陥ってしまいました。
ただ、ドイツの食料自給率は日本に比べて、84%(2018年、カロリーベース)もあります。
対して日本のエネルギー自給率は11.8%(2018年度)しかありません。
振り返れば1941年12月7日、日本が太平洋戦争に突入した時には、既にABCD包囲網により石油やその他工業原材料の輸出規制が行われ、わが国に大きなダメージを与えていた事は、皆さんもご存知でしょう。
※ABCD包囲網(エービーシーディーほういもう、英語: ABCD encirclement)とは、1930年代後半(昭和10年頃)から、海外に進出する日本に対抗して行われた石油や屑鉄など戦略物資の輸出規制・禁止による米英蘭中諸国による経済的な対日包囲網。
「ABCD」とは、貿易制限を行っていたアメリカ(America)、イギリス(Britain)、中国(China)、オランダ(Dutch)と、各国の頭文字を並べたものである。ABCD包囲陣[1]、ABCD経済包囲陣、ABCDライン
以上、ウィキペディアより
政府はしばしば「国民の命と暮らし、財産を守る」といいます。
ところが現在の議論は、何やら「防衛力の強化」「敵基地反撃能力の保持」「同盟国との連携強化」などに集約されているように思えます。
しかしそれだけでは本当の安全保障であるとは言えません。
少子高齢化対策や食料自給率の向上、エネルギー政策等総合的に勘案し、わが国自体が「持続可能な」国家であり続ける根本的な政策転換が共にすすめられなければなりません。
お金があるのに、海外から食料や資源等が輸入できなかった「あの頃」を再び繰り返さないようにと願うばかりです。