昨日の続きです。
中国で小麦が不足すると困ったことになってしまいます。
ここ数年、習近平国家主席は、大豆やトウモロコシなどの飼料は輸入してもいいと公の場で発言しています。
しかし習体制になる前からこの流れは続いています。
飼料作物への転作を防ぎつつ、生活を支える米や小麦は有事でも問題がないようキープしようと努めたのです。
今中国は米や小麦など主な穀物はほぼ自給できていますが、80年代は自給できていませんでした。
さらに突っ込んだ事情としては、中国が小麦を輸入するようになると、市場価格が大きく上がり、インフラ整備の支援をしたり工業製品を多く輸出したりしている、アフリカの国々に不安感を与えてしまいます。
こうした国々への発言力が低下するリスクを回避する狙いも、中国側にあったのかもしれません。
しかし、中国は曲がりなりにも食料自給ができるほど水準が上がってます。
では、わが国はどうなのでしょうか?
日本の食料自給率は依然として4割以下の低い水準にとどまっています。
ロシア・ウクライナ戦争が始まって以来、世界的に食料自給に対する危機感が高まっています。
政府や自民党は防衛費と少子化対策に「異次元の対策をする」と言っています。
では今回のブログで見てきたように国民の命を守る食料の確保は十分なのでしょうか?
農林水産省の「知ってる?日本の食料事情2022」によれば、日本の食料自給率にまつわる数字は次のようになっています。
●食料自給率……38%(カロリーベース、生産額ベースでは63%)
●食料国産率……47%(カロリーベース、生産額ベースでは69%)
●飼料自給率……25%
食料自給率が輸入畜産物の生産分を除いているのに対して、食料国産率は畜産の飼料が国産か輸入かを問わずに計算した数字となっています。
どうやらわざと自給率が下がることを避けるような統計をとっているようです。
そこで「飼料自給率」という指標も参考にする必要ありますが、こちらはさらに低くて25%しかありません。
ロシア・ウクライナ戦争が始まって以降、飼料の国際的な逼迫がニュースになっています。
飼料の輸入が止まれば、日本の家畜は単純計算で4分の3の経営ができなくなります。
先進国のなかでも低い数値となっています。
コメや小麦、トウモロコシなどの穀物だけに絞った「穀物自給率」も日本は28%しかありません。
東京大学の入試問題の中国と比較すれば、その規模の脆弱さは明らかです。
農林水産省の「諸外国の穀物自給率(2019年 試算)」(2022年6月1日、現在、日本は年度、日本以外は暦年)によると、179カ国・地域中127番目、OECD加盟国38カ国中32番目となっています。
つづく