昨日の続きです。
もともとフランスにも、「父親は働く人で、母は家庭を守る人」というような家族のあり方を追求していた時代が確かにあったのです。
しかし前述の1968年の「5月革命」に見られる社会変革運動、さらに、1970年代初め女性解放運動が起こりました。
この運動は、女性の個人としての自律と生き方の選択の自由を掲げました。
また、家庭や社会における男女平等の実現を掲げ、社会の既存の価値観や家族観を問い直すものでした。
1972年に共働き家族への初めての家族給付(社会手当)である「保育費手当」が創設されています。
(私はこの保育費手当の支給が結構最近だということに少し驚きましたが・・)
このことが象徴するように、フランスの家族政策における家族モデルは、「働いていない主婦」から「働く女性モデル」へと大きく転換しました。
その背景には、女性たちの社会参加と働きたいという強い意思がありました。
それに応えるように家族政策は変わって行きました。
フランスの家族政策の基本理念―「職業生活と家庭生活の両立」です。
そのための障害を徹底的になくそうと取り組みを進めています。
政策はスピード感を持って実行され、徹底されています。
ここで重要な事は、2つあります。
①フランスの家族政策は働く女性が子どもを持つことを支援する政策であること。
②しかしそれだけではなく、子どもを持った女性が働き続けることをも支援する政策です。
たとえば、次のようなエピソードがあります。
従来は育児親休暇中に第3子から支給された育児親手当が、1994年法の改正により第2子から支給されることになりました。
その結果、所得の低い女性たちは第2子出産後育児親手当を受給してそのまま家庭にとどまるという事態が起きてしまいました。
このような事態に対処するために、フランスは仕事を続けることを選んだ場合の手当支給の所得要件を緩和し、支給額を引き上げました。
託児費用を出せずに育児のために退職せざるを得なかった女性に、「職業生活と家庭生活の両立」を可能したのです。
これにより、労働市場から遠ざかっていた所得の低かった女性が、家庭的保育者(保育ママ)を利用して働き続けるようになりました。
女性たちが働き続けるための様々な政策については後で、少し掘り下げたいと思います。
つづく