hayatouriの日記

はやとうり の独り言

お産の費用について考える  その3

 

昨日の続きです。

 

これまでのブログの内容をまとめますと、こうなります。

 

国は少子化出生率の低下などを重要視して、お産の費用で自己負担が軽くなる「保険扱い」をするような方向性を示していると紹介させていただきました。

 

ところが、これまで日本のお産の現状は基本的に「自由診療」の形をとっています。

 

例えば、十分な医療スタッフが確保できて、高度な医療機器等が整備されている病院の出産費用は、聖路加病院などで100万円を軽く超えています。

 

そういうお産を求める妊産婦も確かにいるでしょう。

 

この立場の医療機関から見れば、お産に対しての「保険適用」は必要経費の上限、いわば「天井」を決められる形になってしまいます。

 

そうすれば医療機関では、まさに「お産医療の質を落とす」ことになります。

 

そうであるならば、保険適用の部分と自由診療部分を一緒にできるようにすれば良いのではないかとの意見もあるでしょう。

 

しかし、それには大きな壁があるのです。

 

混合診療」の壁です。

 

しかも、前回のブログで紹介したように「混合診療」は基本的に認められないというこれまでの法律です。

 

一般の方はなかなか耳にすることのない「混合診療」という言葉について、若干補足説明をさせていただきたいと思います。

 

混合診療とは、一連の治療の中で保険診療自由診療を組み合わせておこないます。

 

医療サービスを提供することで保険診療の分は健康保険で賄い、保険診療外の分を患者さんが費用を支払うことで費用が混合することを指します。

 

一連の治療というのをより詳しく説明しますと、1つの疾患に対して保険診療自由診療の治療をそれぞれ行い、混合させてしまうことを意味しています。

 

混合診療は原則として日本国内では承認されてきませんでした。

 

禁止されている理由としては下記2点があげられます。

➀本来は国民皆保険の考えに則して、国民全員が保険診療により一定の自己負担額を支払うことで平等に必要な医療を受けることができます。

もし混合診療が承認されれば各個人の経済状況によって受けられる医療に差が出てきてしまい不平等になってしまうからです。

➁実際海外では承認されており、一定の評価を得ている治療があったとします。

日本の医療制度ではまだ安全性・有効性等が確認されていない段階の医療が、保険診療と合わせて治療をすることで間違った形で医療が広まってしまうおそれがあります。

 

しかし、この「混合診療」がある特定の医療行為に対して認められている部分もあります。

 

しかし、それはある高度な実験段階の医療であったり、臨床での統計を集めるなどの特殊な場合に限られています。

 

このように出産に関して保険適用していくことには、行政・医療・患者の側で越えなければならない壁があるのです。

 

つづく