昨日の続きです。
アメリカの周産期妊婦の死亡数が先進国の中で、ダントツで高い理由について調べてきています。
どうやらその背景には、人種差別問題があるという背景が見えて来ました。
2016年のバージニア州立大学による疼痛処理についてのリサーチです。
「米国で白人患者が鎮痛剤を過剰に処方され使用する一方、黒人患者は組織的に適切な疼痛処理を受けていない」という驚愕の結果が発表されました。
黒人は白人に比べ、きちんとした治療が施されていないだけではなく、世界保健機関(WHO)が定めるガイドラインの基準も下回っていることが判明したのです。
222人の医学生と研修医を対象に行われた調査です。
腎臓結石と足の骨折を例に、白人と黒人のそれぞれの患者がゼロから10レベルでどれほどの痛みを体験しているかを推測し、適切な疼痛処置を提案するという内容でした。
さらに参加者は、白人と黒人の生物学的相違について信じられているものが真実か虚偽かを問われました。
虚偽の例は、
「黒人は白人よりも加齢が遅い」
「黒人の末端神経は白人に比べ鈍い」
「黒人の血液は白人よりも早く凝固する」
「黒人の肌は白人よりも厚い」
などが含まれていました。
結果、信じられないことですが、参加者の50%が虚偽の生物学的相違の中で少なくとも1つを真実と答えました。
黒人の痛みの査定を誤り、処置の提案も的確ではありませんでした。
「教育レベルが高い人たちでさえ『肌が厚いため黒人は痛みに強い』などという科学的根拠に基づかない固定観念を持っている。
このような過った認識を解き、適切な治療が行われるようにしなければならない」
とマクドナルド・モスリー医師は力説しています。
そしてこのようにも述べています。
「昔に比べれば、最近は医大や看護学校でこのような固定概念について議論されるようになった。
間接的な偏見や差別が人の健康を害するという認識も広まりつつある。
ただ、この問題を改善するには、根本的な原因が差別に起因しているということをさらに議論していく必要がある。
問題なのは『人種』ではなく、『人種差別』だ」
「お産の費用について考える」ブログも、歴代のブログの中で1番長い回数となってしまいました。
日本のお産事情から始まり、とうとうアメリカの出産事情まで入り込んでしまいました。
長い間、今回のブログにお付き合いいただき、ありがとうございました。