hayatouriの日記

はやとうり の独り言

お産の費用について考える その5

 

ここ数日「お産」の費用について調べてきました。

 

本日は海外のお産事情について紹介する予定でしたが、なんと日本でも厄介な問題が起こっているということが、偶然にも今朝の朝日新聞に載っていましたので、少し紹介したいと思います。

 

今日の朝刊の記事によれば新潟県糸魚川市にある糸魚川総合病院は、4月から出産の取り扱いを休止しているようです。

 

(これはあくまで一例であって、日本全国にはこういう自治体がいくらもあるのです)

 

市内で唯一の産婦人科をもつが、常勤の産婦人科医が1人になってしまったからです。


市内の妊婦は、健診や出産のために西側の富山県黒部市か、東側の新潟県上越市の病院まで行かなければなりません。

 

いずれも約50キロ離れており、車や電車で片道1時間弱かかります。


身重の体で小さい子の手を引いて健診に通えるのか、交通や宿泊費はどれくらいかかるのか、

 

出産時に豪雪で移動できなければどうなるのか――病院や市には不安の声が寄せられています。

 

この病院は富山大病院の関連病院として、多くの診療科で医師の派遣を受けており、現在約30人のうち約20人を占めています。


しかし3月末、産婦人科にいた常勤医2人のうち1人が定年退職し、もう1人が富山大病院に戻り派遣は中止。

 

糸魚川総合病院と市が再考を求めても、富山大の方針は変わりませんでした。

 

独自に手を尽くしたが、産婦人科の常勤医は1人しか確保できませんでした。


一方、派遣元の富山大病院も、産婦人科は安全な出産ができる態勢を保つのには苦労しているのです。

 

さらに、来年4月から始まる「医師の働き方改革」への対応が求められています。

 

富山大は朝日新聞の取材に対し、「地域医療の安全性、働き方改革など、多方面から検討した苦渋の決断です」と文書で回答しました。


厚生労働省の検討会が、2019年に医師の働き方改革についてまとめた報告書には、こう記されています。


「我が国の医療は、医師の自己犠牲的な長時間労働により支えられており、危機的な状況にある」


「『自殺や死を毎週又(また)は毎日考える』医師の割合が3・6%との調査もある」


報告書を受けて、医師の時間外・休日労働は原則年960時間(月80時間相当)を上限とする罰則付きの規制が決まりました。

 

大学病院の中には、勤務医の労働時間を短くしつつ診療機能を落とさないように、地域の病院への医師派遣を見直す動きが出てきました(つまり派遣を取りやめるということです)

 

規制スタートまで残り8カ月となり、さらに全国的に拍車がかかる可能性があるのです。

 

医師派遣のシステムはこのようになっています。

 

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少し横道にそれてしまいましたが、「お産医療を守る」ということは、単に「お産に保険を適用する」だけではなくて、医師の確保も含めたもっと根本的な問題が横たわっています。

 

そのことが図らずも「医師の働き方改革」に伴って地方医療の崩壊と言う形で露呈してきているのです。

 

つづく