昨日の続きです。
何だか、この「お産の費用」シリーズもずいぶん長くなってしまいで申し訳ありません。
外国のお産事情について調べていましたね。
しかし、ダントツで私が怖いと思うのはアメリカですね。
何しろ、アメリカでのでのえげつない出産費用に関する“怖い話”はいくらでも見つかります。
例えばこんな例があります。
米国で出産したステラ・アポ・オサエトゥワムとその夫は2018年、英紙ガーディアンに対し、夫婦の三つ子が早産で生まれた際に病院から87万7000ドル(約9700万円)を請求されました。
どうです!
もうここで日本人ならひっくり返りますよね!
そんなアホな!ってなりますよね。
この請求に対し、幸運にも保険会社が請求金額の大半を支払ったのですが、それでも2人は5万1000ドル(約560万円)以上を支払う責任を負いました。
その後、ニュージャージー州の医療請求交渉企業が医師らと交渉した結果、請求金額は1300ドル(約14万円)まで下げられ、夫妻はやっと支払うことができたようです。
もうこうなれば、最初の請求は何だったのだ!ってなりませんか?
アメリカでの出産平均費用の概算は、情報源によって大きく異なっています。
権利擁護団体のチャイルドバース・コネクション(Childbirth Connection)は、病院が通常出産に請求する額は3万2000ドル(約350万円)余りであると公表しています。
通常350万円!
帝王切開の場合は5万1000ドル以上だといいます。
日本円で700万円を超えてしまいます。
保険会社がその大半をまかなう場合が多いのですが、新たに子どもを迎えた家族は通常、数千ドル(日本円で70万円から80万円)に上る請求金額を支払うことになるといいます。
世界の医療保険会社の最高経営責任者を代表する国際健康保険連合(iFHP)は、別個で出産費用の国際比較を行っています。
iFHPが出した米国での出産費総額は他の情報源と比べて非常に低く見積もられています。
しかし、それでも他国と比べると非常に高額です。
米国での2017年の標準的な出産費用は1万1200ドル(約120万円)で、帝王切開の平均費用は1万5000ドル(約170万円)となっています。
それに対し、オランダでの通常出産および帝王切開の費用は平均で、それぞれわずか3600ドル(約40万円)と5300ドル(約58万円)で、保険で全てカバーできています。
加えてアメリカでは見逃せないことがあります。
これらの高額な出産費用であるにもかかわらず、米国では出産に際し毎年約700人の母親が死亡しているのです。
乳児死亡率も他の先進国と比べて高く、米国は世界の先進国の中でも出産において特に危険な国の1つだと言われています。
確かにG7と呼ばれる国々の中ではアメリカの周産期妊婦死亡率は、最悪レベルだと考えて良いでしょう。
なぜ、世界のトップランナーと言われるアメリカが出産においてはこのような現状になっているのでしょうか?
次回はその背景について、少し踏み込んで考えてみたいと思います。
つづく