昨日の続きです。
これも余談ですが、在日のあるアメリカ人から聞いた話です。
日本に観光旅行などでやってくる外国人に必ずアドバイスすることがあるそうです。
外国人はブーツ型の履物が大好きらしく、よく利用するようですが、それは日本に来る時は使わない方が良いと伝えるようです。
なぜなら、日本では家に入れば靴を脱ぐ習慣があります。
ブーツの紐をいちいち外したり結んだりするのがとても面倒だということを教えてあげるのだそうです。
このように、日本独特の靴を脱いで家に上がる習慣では、靴を脱ぐスペースや、脱いだ靴を置いておくスペースが必要となります。
「内開き」の場合、脱いだ靴や履物がドアの開閉の邪魔になったり、ドアに押しつぶされたりします。
そのため、限られた玄関のスペースを最大限に使えるように「外開き」のドアになったようです。
ほかに、日本は欧米に比べると雨が多く、「内開き」だとドアに付着した雨が玄関に入り込んでしまうため「外開き」が多いともいわれています。
一方、先の東日本大震災で東北地方を襲った津波、あるいは豪雨による洪水などが起きたときは「内開き」のドアのほうが安心なのです。
なぜなら、外部に大量の水が押し寄せたとき、「外開き」のドアは外部からの水圧で開かなくなる恐れがあるためです。
この点、「内開き」であれば、水圧にかかわらず、開けることができます。
それでは家の中はどうなっているでしょうか?
日本の家の玄関は「外開き」が多いのですが、家の中のドアはさまざまです。
例えば、部屋のドアが廊下側に開く「外開き」もあれば、部屋側に開く「内開き」もあります。
トイレのドアは、万が一トイレの中で動けなくなった場合に救助しやすいように「外開き」が多いようです。
住宅以外の場所の場合、公共施設やホテルなど、大きな建物の中に複数の部屋があるところでは「内開き」が多いです。
その理由は、災害時などに緊急避難経路の妨げにならないようにするためです。
万が一災害が起こった場合、複数の部屋のドアが「外開き」だったら、緊急避難経路となる廊下に向かってドアが開いてしまい、避難の妨げになってしまいます。
一方、劇場や映画館などは、内部から一斉に避難できるように「外開き」にするよう、法律で定められています。
また、雪国では積雪のためドアが開けられなくなってしまうため、「内開き」になっているところもあるようです。
日本のドア、特に玄関のドアは外開きが多い理由はちゃんとありましたね。
昨今は日本でも防犯意識が高まり、内開きの方が良いのではないかと考える人もいますので、今後、もしかしたら内開きの玄関ドアが増えるかもしれません。
しかし、日本の住宅はアメリカやヨーロッパに比べると小さいですから、ドアの開閉スペースを確保できるほど広い玄関を作るのは、なかなか難しいことかもしれません。
実際に私の家も玄関は外開きになっています。
ただその場合には、チャイムがなってもドアを開けずに誰かわかるモニター設置とか、ホテルのドアの様に一気に開かないように内側にもロックが掛かる仕掛けを付けるなど、常に防犯を意識しておくことが必要だと思います。