前回のブログでは事業系からの食品ロスを調べてみましたが、今回は残り半分の家庭からのロスについて考えます。
2020年4月に政府が発表した推計値によれば、食品ロスの46%は一般の家庭から出ています。
その内訳は主に3つあります。
1つ目は過剰除去です。
野菜の皮を厚く剥きすぎたり、お肉や魚の食べられる部分まで捨ててしまうといったものです。
2つ目は直接廃棄です。
沢山買って冷蔵庫に入れておいたものの、食べきれずに捨ててしまうことです。
そして、3つ目は作りすぎです。
それぞれ「そうそう」と思い当たることばかりですね。
では最も廃棄されやすい食材は何でしょうか?
農林水産省の調査や民間の調査によれば、最も捨てられやすいのは野菜です。
もやしやニラは痛みやすいですし、キャベツなどは一玉が大きいので、特に一人暮らしの方はダメにしてしまう人も多いようです
保存方法は例えばキャベツであれば、芯をくりぬいて濡れた新聞紙などを詰めたり、爪楊枝を刺したりさして、芯に成長点があるので、そこの働きを止めると保存性が高まります。
ひと手間かかりますが、その一手間が食べ物を長持ちさせる上で大切なのです。
もやしは袋のまま置いておくとすぐにダメになってしまいます。
もちろん冷凍も可能ですし、レンジでチンするか、少し熱湯をかけてからしまうと良いようです。
野菜たちをどのように使うかによって食品ロスは大きく改善するということです。
豆腐も、張ってある水を毎日入れ替えると日持ちします。
卵も、冷蔵庫で10度以下で保存していれば、2ヶ月程度は生で食べられます。
実際に表記されている賞味期限は、真夏の気温で生で食べられる期限です。
賞味期限を過ぎても、加熱調理すれば食べられることがほとんどです。
これは私事で恐縮ですが、以前弁護士事務所で仕事をしていたことがあります。
ある時スーパーマーケットの倒産がありました。
3店舗を経営していたので大量の商品が残っていました。
この仕入れの商品を業者さんに引き取っていただいたことがあります。
ほぼ1ヵ月近く経って、卵屋さんが山積みの卵を引き取りにきました。
「時間が経っているので大丈夫ですか?」とお尋ねしたところ、意外にも加工加熱処理すれば全然大丈夫とのお返事をいただきました。
私たちの身の回りで、もったいないことがたくさん起こっているのですね。
食品ロスは、地球環境にも大きな負荷をかけていますし、経済的にも損失が大きいのです。
日本は、ほとんどの自治体で、食べ物をゴミとして燃やしてしまっていて、処理施設の維持管理も含め、ゴミ処理には年間2兆円以上かけています。
一方欧州では、りんごの芯やバナナの皮、剪定された枝、落ち葉などは「オーガニック」というくくりで分別し、資源として扱われることが多いようです。
オランダでは「廃棄物変換器(トランスフォーマー)」でこれらを発酵させ、発生したガスをバイオマスエネルギーにして電力として利用したり、堆肥や飼料としても活用しています。
スウェーデンのマルメ市では、バナナの皮やコーヒーのかすなど、食べられない部分をリサイクルした100%再生可能エネルギーでバスを走らせる取り組みも行われています。
最後にもう一つ私が大事だと思う事は、「人間の感覚」です。
その食材がまだ食べられるのかどうかを確かめる五感も大切だと思います。
冷蔵や冷凍技術があまり発達していなかったころは食材が傷みやすかったですよね。
そんな時、匂いや味の変化を確かめる能力が「人」には必要なものでした。
実際私が子供の頃、両親が「これはちょっと危ないな」とつぶやいていた焼いたアジの干物がありました。
両親はそれをわざと私に差し出して「食べるんじゃなくて口に入れるだけにして噛んでみて」と言いました。
そうしてみるとやっぱり変なのです。
大人が時々言っていた「舌にさす」という表現がやっとわかりました。
「あ〜こういう干物は食べてはいけないのだ」と納得した記憶があります。
逆に言えば「これはまだ食べられる」がわかったことになります。
食品を扱う環境があまりにキレイに整いすぎて、「賞味期限」のみを判断基準にしてしまう誤解が生まれています。
長くなってしまいましたが、自分たちの身近なところからなんとか食品ロスをなくしていきたいものです。