昨日の続きです。
「<非戦>というのは、決して座して撃たれるのを待つ、ということとは全然違うよ。」
僕は言う。
「ねえ、教授、なんでだろう? なんで僕は、2点でしか考えられなかったんだろう?
今、教授に聞いてみれば当たり前のことばかりで、なんで俺、気づかないんだよ!って感じで・・・。」
恥ずかしくて仕方なかった。
ああ、馬鹿な質問しちゃったなぁ、と少し後悔もしていた。
僕は話を続けた。
「僕は、戦争になったらどうする、そのときの責任ある自分の行動はなんだ、ということばかり考えていた。
でもこれって、例えるなら『事故にあったらどこの病院に行くべきか』と病院ばかりをいっぱいつくるようなもんですよね。
そりゃ事故にあったら病院に行くけど、まず事故に合わないように必死で対策することが最優先なのに。
なんで、僕はこんな恥ずかしい低レベルなところでぐるぐるしてたんだろう?」
すると教授は、「もしかしたら、だけどさ・・・」と言ったあと、ちょっと間をあけて、怖いことを言った。
「もしかしてさ、外交とか、バランスとか、この国の政治家や官僚は、やるべきことをずっと、アメリカの軍事力の傘の下にあるっていう一点で・・・サボってきたんじゃない?
それは、国民にバレないようにしたいよね。
気づいて欲しくない、よね?」
・・・僕はその一言に、ぞっとした。
確かに、地政学の視点や、パワーバランスを保つ<努力を怠る>と戦争が<発生する>という、<教育>や<教養>が多くの人に身に付いていたら、今の中国や韓国との情況を生み出した政治家や官僚たちは責められてしかるべきだろう。
それに日本は既に世界でも有数の自衛隊を持っている。
であるとすれば、今僕らに足りないのは、軍備ではなく、国際政治のバランスをきちんと取ること、外交、経済あらゆる面で、難しくも果てしなく重要な問題に日々取り組み、逆風の中も切り込んで<良いバランス>へと向かわせる国家、官僚、国民であるはずだ。
・・・だが、そうはなっていない。
中国と韓国は危険。
だから備えよ、憲法変えよう、非常事態に備えて法整備、である。
何もかもが間違っていないとは思うけど、本来やるべきことは山積みのまま、それらは無視されている。
だから教授は言うのだ。
つづく