昨日の続きです。
私も含めて、昭和の若者には10年後、20年後に希望がありました。
今の若者は30年間も賃金が上がらない状況を見せつけられ、未来に希望も期待も持てなくなっています。
給付金ではなく、自分たちでなんとかできるというしっかりした環境づくりが必要です。
この点に関しては、少子化対策というより次世代支援のようなメッセージの方が、受け入れやすいような気がします。
また少子化対策は短期的ではなく、長いスパンでなければ効果は出ません。
例えば1992年に育児休業法が施行されましたが、男性の育休利用はなかなか進んではいませんでした。
30年たって、ようやく世の中の意識が追いついてきました。
一方で、その間に非正規雇用が広がり、やはり育休はとりにくいという現実もあります。
お金だけで解決するような単純な話ではないので、どうしても対策は総花的にならざるをえません。
いろいろな手を打ち、共働き社会への転換をはかりながら、将来不安が少ないような社会構造に変えていくしかありません。
それには長期的な視点と政策的な安定が重要です。
なぜなら、今生まれた子どもたちが20年前後経った時点でようやく、出産ができる年齢に達するからです。
誠に残念なことですが、今後20年以上は日本の少子化が進み続けるということが現時点で明らかになっています。
このように、人口構造を変えるような取り組みには、非常に長い時間がかかるのです。
支援はずっと続くという信頼がないと、お金を出しても「今だけの対策なら貯金しておくか」となって子どもを産む意欲にはつながりません。
安定した財源も必要でしょう。
子育ては長期的なのに財源不足で打ち切れば信頼が裏切られ、マイナスの影響の方が大きくなります。
政府は、その場しのぎではなく長い目で子育てを支援していく姿勢を明確に示さなければなりません。
たとえば、大学までの教育費負担を大幅に軽減すれば、プラスに働くかもしれません。
日本の大学生で何らかの奨学金を受けている人は5割にのぼります。
そのうち9割が公的奨学金である日本学生支援機構の奨学金を受けています。
この機構の貸与奨学金は取り立ても返還の猶予・免除の条件も厳しいものとなっています。
さらに保証人制度は、親は子の学費が用意できないなら、保証人となって責任を負う義務を逃れられないのだという制度になっています。
産む側には大学までは遠い将来のことなので、ここでも政府への信頼が大切になります。
先ほども述べましたが、出生率が多少は回復しても、もはや当面は人口減少が止まることはありません。
はっきり言って、現在の対策では人口を増やすことはほぼ絶望的です。
現実問題として高齢化や人口減少が進む社会への適応策を考え、対策を打つことが急務です。
それでも、子どもがほしいという人が希望をかなえられるよう、少子化対策を進め、少しずつ社会を良くしていくことには意味があります。
少子化と高齢化の双方に向けた努力がもはや待ったなしで必要です。
そうでなければ、この国の未来は暗たんたるものになってしまうでしょう。
海外では、日本のような少子化の危機を乗り越えた国々も現れてきています。
それらの国々の取り組みについてもまた別のブログでご紹介したいと思います。