昨日の続きです。
見てきたように、遺産金額の大小にかかわらず相続問題が発生しています。
特に兄弟姉妹間に多くなっています。
どういった理由でトラブルが起こっているのでしょうか?
実は分割しにく遺産ほど揉めやすいのです。
最も問題になりやすいのは不動産です。
例えば、長男が実家に住んでいると遺産分割ができず、「兄が遺産を独り占めしている」と長女や次男が反発してトラブルになりやすいそうです。
貯金の孫への生前贈与も不公平感を生みやすいようです。
親が孫に毎年贈与する「暦年贈与」をしている場合です。
「うちは子供1人なのに、姉夫婦は3人も贈与されてずるい」などという訴えも多いそうです。
要するに、現代の家族には様々な形があり、単身者や子供がいない夫婦なども珍しくありません。
このような多様化により揉め事の火種も増えているといえます。
今年からさらに法律が改正されて、相続の形も変わることになります。
これにより様々な問題が起こることが予想されます。
2019年から相続人以外の親族にも遺産の権利が認められました。
例えば、長年義父を介護していた「長男の配偶者」などが相続人に財産分与を請求できるようになりました。
配偶者(夫)の両親を介護する妻などは大変なご苦労がありますが、これまではそれが全く評価されませんでした。
介護などに全くかかわらなかった相続人には財産分与の権利があるのに、介護に関わる妻などには権利がないのはおかしいのではないかという考え方が基本です。
このような対象者を特別寄与者といいます。
無償の療養看護等の労務を提供して被相続人の財産の維持・増加に寄与した場合にがそれにあたります。
相続開始後、相続人に対して、一定の金銭(特別寄与料といいます。)を請求することができるようになりました。
特別寄与者として金銭を請求できるのは被相続人の相続人ではない「親族」になります。
法律上、親族とは6親等内の血族、配偶者、3親等以内の姻族をいいます。
具体的には、子の配偶者、兄弟姉妹、配偶者の養子縁組していない連れ子などは特別寄与者の範囲に含まれます。
他方、内縁の配偶者及びその子は法律上の「親族」には該当しないため、特別寄与者からは除外されます。
今後は、このようなケースがトラブルの火種になっていく可能性があります。
つづく