兵庫県三田市にあるスイーツ店「パティシエエスコヤマ」が今話題になっています。
職員の長時間労働が労働基準監督所から指摘を受けましたね。
「パティシエエスコヤマ」によると、2018年、社員約100人のうち55人が月100時間を超える時間外労働をしていたと認定されました。
さらに、その後も時間外労働が常態化していたため、今年1月に再び是正勧告を受けました。
また、数十人の社員に超過分の残業代を支払っておらず、労働基準法に基づいて過去2年分を支払うということです。
「パティシエエスコヤマ」は長時間残業の常態化について、
「やる気のある社員が集まる中、法律を破ることになってしまい、事態を重く受け止めている」
とコメントしていて、今後は、労働時間の管理を徹底するということです。
文字通りこれがわかりやすい「やりがい搾取」です。
私が思うに、特に料理人、職人、技術職などは少しでも早く技術を習得しようと熱心に「働く」人たちが多いです。
鍼灸業界なども「弟子に入る・弟子をとる」という言葉がいまだに使われています。
これは実際に私もその場にいましたが、ある高名な鍼灸治療家が弟子を取る条件を話していました。
なんて言ったか
それでも来るならおいでということでした。
先日もある料理人さんと話したところ、海外で修行した時は上下関係が本当に厳しく、先輩から罵声を浴びるなど日常茶飯事だったとのこと。
長時間労働やいじめが常態化する中でも負けずに修行してきた成果が今あるのだと話していました。
ここで大きな勘違いが生まれます。
経営者側からすれば技術や修行の場を作ってやっているのだから少々の事は我慢するのが当たり前という考えです。
これはあくまでも自分の成功体験や古い徒弟制度的思考です。
雇われる側からすれば、絶対的に権力を持つ経営者や上司たちの言うことを聞かなければ働く場が奪われてしまうか、もしくは修行の場が閉ざされるとなります。
結局パワハラ+搾取となっています。
人を雇えば社会的にも法的にもいろんな義務が発生します。
知らなかったできなかったでは済まされないのです。
それを果たせない、果たさない事はその企業のブラック化を意味します。
正直「パティシエエスコヤマ」は超がつくほどのブラック企業だったのです。
これからは企業が作り出す製品の味や質だけではなく、その企業がどういう社会的存在なのかが評価される時代になっています。
例えば安全な原料を使うとか、どういう条件で人を雇っているのか、温室効果ガス削減に貢献しているのかとか。
今回の「パティシエエスコヤマ」事件はおいしいケーキやスイーツに隠されたブラック性が図らずも露出した事件です。
どんな事業所でも働く人たちの権利が十分に担保される必要があります。
もちろん経営者・雇用者の側も自社の労働条件など、きちんと社会保険労務士などに相談すべきです。
詳しくは各都道府県の労働基準監督所「総合労働相談センター」へどうぞ。