電気自動車では中国が世界のトップを走っているようです。
中国政府は2060年までに脱炭素社会を目指す新車販売に占める新エネ車の割合を2025年までに20%前後に引き上げようとしています。
2035年には新車販売の主流にする計画です。
同時にそれに関してはさまざまな補助金を出しています。
特にタクシーや公共交通機関などでは電気自動車(EV→Electric Vehicle)積極的に使われているようです。
中国メーカーのEVの走行距離は約60万元(約1015万円)の小型車で120キロ。
200万元(約3383万円)以上の高級車は500キロなどと幅広いがガソリン車と比べればまだまだ短いです。
EVに使うリチウムイオン電池はこの10年間でリン酸鉄リチウムから三元系リチウムに切り替わり、エネルギー密度が大幅に向上しました。
今後はナトリウムイオン電池が開発されるようです。
とは言えそこは電池、充電場所が少なければ不安です。
しかも充電するのに長時間かかるとすればそれ自体問題です。
しかしそこを発想の転換で乗り切ろうとしている会社もあります。
充電するのではなく、バッテリースタンドでバッテリーごと替えてしまうと言う発想です。
新興EVメーカーの上海蔚来汽車(NIO)は「バッテリー交換スタンド」の普及に力を入れています。
NIOの交換スタンドは、ピットに車両が入ると自動で車両底部のバッテリーを交換。作業は5分で終わるというのです。
正直私にこの発想はありませんでした。「電気自動車=充電」のイメージで固定していたのです。
バッテリーは定額制で何度も交換できるようです。
「タイムイズマネー」の現代社会では非常にありがたいサービスになります。
一方で中国各地にEV充電スタンドが設置される中、しばらくすると設備が劣化して使用できなくなる「ゾンビスタンド」が増加しているようです。
過当競争で採算が合わなくなった設置業者が夜逃げしたり、最初から政府の補助金が目当ての業者が劣悪な施設を造ったりしている例もあるようです。
中国メディアによると、上海市内にある充電スタンドの2割以上が「ゾンビ化」していると言われています。
また、近年は耐用年数が過ぎたEVの使用済みバッテリーが大量に生み出されています。
その多くは正規ルート以外のヤミ業者が安価に受け入れて処理しているようです。
その処理方法はブラックとならざるを得ません。
このようにEVが増えることがすべて良いことでは無いのです。
例えばEVのバッテリーは寒さと暑さに非常に弱いのです。
35度で冷房使用をしたとします。この場合走行距離は20%から30%ダウンします。
おまけにバッテリーの劣化を招く可能性があります。
寒冷地でマイナス10度で暖房使用した場合、走行距離は半減します。
例えば高速道路で大雪渋滞に巻き込まれた場合など、ガソリン車であれば給油さえできればエンジンを動かすことができます。
しかしEVは充電することができません。考えただけで背筋が寒くなります。
EVの充電施設ですが日本国内を考えた場合、現在のガソリンスタンドの倍は必要だとのことです。
最後に使用済みバッテリーの処理問題が起こってきます。
二酸化炭素を減らし地球の環境保全を目指すため開発される電気自動車。
それが結果として環境を壊す悪循環を起こそうとしています。
この点は日本も中国のこの実態からよく学んでいかなければいけないところです。