昨日の続きです。
このように政府がデメリットについてはまったく語らないでいます。
「利便性」や「安全性」だけを強調すればするほど、その陰で各人の健康データ(Personal Health Record)、個人情報の漏洩など個人の利益には一切つながらない問題点を語らない事実に国民は気づいてきています。
もし政府が本気ですべての国民に行き渡らせたいと考えているのであれば、このような「持っていなければ不便になるぞ」というよう形で国民に脅しをかけるようなやり方をしてはいけません。
指摘されている問題点や疑問、不安に対して、これまで以上に十分かつ丁寧な説明を時間をかけて行っていかねばならないことは言うまでもないことです。
その上で、今回の政府方針について私は考えるのですが、そもそもこの「2024年度秋に現在の健康保険証の廃止を目指す」という政府の目標は、政府がいかに強引に推し進めようとも絶対にそうは進まないだろうと思っています。
それはマイナンバーカードの取得申請は、あくまでも個人の行動に委ねられるものであるからです。
政府は、健康保険証廃止の時期が来ても「マイナンバーカードを取得しない人などに対しては働きかけを進め、何らかの対応を検討していく」と威圧的な態度を取ってきました。
その一つが今行われている国会で明らかになりましたが、マイナ保険証を持たない人には「資格証明書を発行する」と国会答弁がありました。
ところが資格証明書は保険料の滞納があったり未払いがあった場合発行されるものです。
病院窓口でまず10割負担の医療費を払い、その後保険料の支払いを確認した上で自己負担額以外を払い戻すと言う制度です。
野党からは「そのようなことをすれば、お金が払えないで受診抑制が起き、命の危険につながりかねない」と強い反発がありました。
国会で追求された次の日、岸田総理は「また別の制度設計を行う」と表明しました。
政府の発想は基本的に矛盾を抱えているのです。
それならば保険証をそのまま廃止しなければ良いだけなのです。
だんだん国会でのやりとりを通じて矛盾点が見えてきています。
そもそも取得しようとしない人に罰則を適用することは、現在の法律上は不可能です。
あくまでも「お願いベース」にならざるを得ないのです。
また「健康保険証の廃止」というのも現実問題としてかなりハードルが高いと思われます。
「廃止」というセンセーショナルな単語にはどうしても敏感に反応してしまいますが、冷静に考えれば法改正をしなければいけません。
調べてみました。
今年の5月25日に行われた「第151回社会保障審議会医療保険部会」において、水谷忠由厚生労働省保険局医療介護連携政策課長は以下のように述べています。
少し長いですが重要な説明なので議事録よりその部分を抜粋します。
つづく