もし何かが62%も減ったとしたらびっくりしますよね。
例えば、銀行に預けていた預金が10年位で38%になってしまったとしたら。
予定通り使おうと思ってた食費が38%に下がってしまったら。
実は大変深刻な問題が起きているのです。
皆さんは62%減少したのは何だと思います?
実は男性の精子の数なのです!
今から5年前、男性の精子の数が激減しているという研究結果が出されました。
その時は人類滅亡の危機かと騒がれました。
そして今回、新たに発表された研究によって、精子の数はさらに減り、しかもそのスピードが速まっていることが明らかになりました。
実に危機的な状況が密かに進んでいたのです。
5年前の研究は、2017年7月25日付けで学術誌「Human Reproduction Update」に発表されています。
それによると、北米、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランドの男性の精子を分析したところ、1回の射精に含まれる精子の数が1973年から2011年までに50%以上減少していたといいます。
その後、同じ研究者が率いるチームが2014年から2019年までに公開された精子サンプルの研究結果を分析しました。
これを以前のデータに付け加えた新たなメタ分析は、世界的な傾向を知るため、中南米、アフリカ、アジアを含め1万4233人分のサンプルを使用しました。
すると、精子の総数は70年代に比べて62%減少していたことが判明したのです。
そればかりか、1年ごとの減少率は2000年以降2倍になっていました。
この結果は、11月15日付けで同じく「Human Reproduction Update」に掲載されております。
「数の減少速度は緩やかになるどころか、激しい落ち込み方です。
減り方の程度としては全体的にほぼ同じと言えますが、近年に注目すれば加速していることがわかります」
と、米ニューヨーク市にあるマウントサイナイ医科大学の生殖・環境疫学者で、論文の共著者でもあるシャナ・スワン氏はコメントしています。
「ある時点で下げ止まるのではないかと期待していたのですが、その反対のことが起こっているようです。
このままではほとんどの男性が不妊状態になるところまでいって後戻りできなくなるか、健康面で他の問題が現れてしまうのではないかと懸念しています」
と、論文の筆頭著者でイスラエル、ヘブライ大学ハダッサー・ブラウン公衆衛生学部の医学疫学者であるハガイ・レビーン氏は語っています。
不妊症は主に女性の問題だと思われがちですが、米アイオワ大学先端生殖医療センターの生殖生理学者で体外受精・男性病学研究室長のエイミー・E・T・スパークス氏によると、男性が原因の不妊は女性が原因の不妊とほぼ同じ割合で存在するのです。
つづく