昨日からの続きです。
技能実習生にちゃんとした労働条件や報酬が保障されていない問題があります。
振り返ってみれば日本人にも起きている問題です。
日本人の労働者も、権利や労働条件が十分に保障されていると言い難い現実があります。
一昔前「怪我と弁当は自前持ち」と言われましたが、雇われた側の立場はそれほど弱く、労災保険なども使ってくれないという時代がありました。
(いや、今でも巷ではそういう話をよく聞きます。)
根っこにある問題は共通ではないかと思います。
一方、その蜜柑農家でうれしい話もあるのです。
彼らが期限を終えてマレーシアに帰るときが来ます。
その送別会でお渡しするものがとても人気なのです。
それは日本の「ガソリン草刈機」だそうです。
正式名称は「刈り払い機」です。
けたたましい音で畑のあぜ道の草を刈っている「アレ」です!
マレーシアなどでは草刈り鎌がまだまだ主流のようです。
なのでこれらの国々では日本製刈り払い機は貴重品で、とっても喜ばれるようです。
日本の農業技術が、少しでも母国の農業に貢献できるならば本当に喜ばしいことです。
しかし現実には、「技能実習生」と呼ばれる彼ら彼女らは日本の貴重な労働力そのものなのです。
そして今、彼らを襲っている大問題があります。
日本の円安です。
例えばベトナムから来た実習生は、今年の10月ベトナム通貨ドンは、今年初めより2割ほど通貨の値打ちが下がったといいます。
月給の半分の10万円を実家に仕送りしてきた人は、10月にはこれまでと同額のドンを届けるには、約12万円の収入が必要になります。
ある施設の施設長は
「外国から来た子たちは、真面目で優しく、施設を支えてくれている。
ただ以前は募集人数の3倍以上があったが、今は集まっても募集人員と同じ位」
と話しています。
理由は簡単です。
世界中の各国で介護や医療人材の奪い合いが始まっているからです。
東南アジアの国々の人たちの多くは英語を話すことができます。
日本語を改めて習得することを考えれば、英語圏の国への「出稼ぎ」の方が随分楽で有利でしょう。
実際、ヨーロッパや、イギリス、オーストラリア、カナダなどへの人材流出が進んでいるといいます。
それに加えて前述のような円安が日本の市場の魅力を下げています。
厚生労働省の推計では、高齢化で2040年度に介護職員が19年度時点と比べ約690,000人不足すると言う統計が出ています。
ある研究者によると、2030年にはサービス業で4,000,000人、製造業で380,000人の人手不足に陥ると推計されています。
日本の止まらない少子高齢化が、この現象に拍車をかけているのは間違いありません。
誰もが少しでも給料の良いところで働きたいと思うのは当然です。
外国人労働者にとってもそれは同じなのです。
円安の進行は製造業だけでなく、サービス業にも大きな打撃を与えています。
さあ、ここまで円安が進んだのはいったなぜでしょうか?
つづく