昨日の続きです。
もう皆さんもご存知の通り、この円安の原因は日銀の黒田総裁のもとで、13年4月から行ってきた大規模な金融緩和です。
市場に大量に円を流す金融緩和で、12年末に1ドル= 85円前後だった円相場は今年10月に約32年ぶりに151円台までまで下がりました。
アメリカの金利利上げが鈍化するとの見方から、最近は130円台になりましたが、今年の春からは20円ほど円安水準にあります。
円安で輸出企業を中心に企業業績は回復しましたが、日銀が目指していた賃金はさほど上がらず、物価も持続的に上がる経済の好循環を達成できていません。
先進国で作る経済協力開発機構OECDによると、21年の日本の平均賃金ドル換算は、加盟国34カ国中24位、13年から21年の伸び率は3.3%でOECDの平均10.4%を大きく下回っています。
世界銀行によれば、同じ期間での実質経済成長率も日本は0.14%とOECD平均よりも低くなっています。
黒田総裁は、11月14日の会見で「日本経済はデフレではない状況になった」と10年近くの間後の成果を強調しました。
ただ輸入品価格を押し上げる急激な円安は暮らしを直撃しています。
日銀の9月のアンケートで暮らし向きに「ゆとりがなくなってきた」との回答は、50.7%と10年前より2%ほど悪化しています。
先程の実習生の人々の声に立ち戻りたいと思います。
日本人でさえ、海外進出を考えている人が多くいます。
例えばオーストラリアではカフェや寿司店のアルバイトの時給が2500円から3000円と言う経験者の声があります。
日本の時給を考えてみればいかがでしょうか?
現地の物価水準は高いですが、物価上昇に合わせて賃金も上がっていて、生活次第でお金をしっかり貯められると言う条件が示されています。
ある日本の大学生は、家族からお金を借りてでも早めにオーストラリアに行って、現地で働きながら勉強して返す留学の考え方もあるといいます。
そもそもアルバイトでこれぐらい賃金の差があるのに、日本に就職していいのだろうかという不安もあるようです。
これまで10年近くの金融緩和で賃金が十分に上がらない一方、円安もあり海外の賃金は、円換算で上がり、海外で働くことの魅力が増えています。
つづく