皆さんもご存知のように、岸田政権は、新型コロナウィルスをインフルエンザ等と同じ「5類」に移行すると決めました。
時期は5月の大型連休明けからだそうですが、これに対しても様々な意見が湧き上がっています。
今回はこのことについて少し考えてみたいと思います。
そもそも新型コロナは感染法上「新型インフルエンザ等感染症」に位置づけられています。
結核などと同じ「2類」相当ですが、すでにいろいろな措置が緩和されているので、位置づけの変更は必要だと思われます。
ただし季節性インフルエンザと同じ5類とするのは少し問題があるのではないでしょうか。
依然としてウィルスの感染力が強く、一日数百人の死者が出ている状況はまだまだ深刻です。
季節性インフルエンザと同じ扱いにできるまで改善されていないと思います。
5類にするには、例えば「医療提供体制をこのように整える」などといった政府による具体的な方針と説明が必要でしょう。
国民が5類でも安心だと思える状況を作ることがまず第一歩ではないでしょうか。
政府は「5類になったら患者を看る医療機関が増える」と言っていますが、実際は逆に縮小する傾向になると思われます。
その理由について考えてみましょう。
入院について、政府は、病床確保料等の公的支援を当面継続し、段階的に縮小廃止する方針です。
そうなれば病院は明らかに赤字となります。
病院等の経営を担う立場からすれば、もともと相当無理をしてコロナ病棟を増やしています。
病院スタッフも懸命に患者を診ている状態です。
この間に過酷な労働条件で仕事を離れるスタッフも多くいました。
病院によってはコロナ外来に他科医師の応援を頼むなど、一般医療へのしわ寄せも続いてきています。
自分たちの医療機関の機能を維持していくためにはどうしたらいいのか考えざるを得ない状況になっています。
このままでは通常の診療体制が維持できないので、補助金削減ならばコロナ病床を減らす傾向が現れるでしょう。
5類への移行をきっかけに、国公立病院以外の多くの病院の経営者は、コロナ対応を縮小し、通常の診療に切り替えるようになると思われます。
医療供給体制は、さらに厳しさを増す可能性があります。
また、今までコロナ診療をしてこなかったクリニックなどの多くは、他の患者さんと動線を分けて対応することが困難などが理由でした。
5類になっても新型コロナの性質が変わるわけではないので、受付外来は簡単には増えないでしょう。
5類になれば、医療の担い手が増えるなどと楽観的な報道も少なくありませんが、根拠はありません。
実際にアンケートを取るなどデータの裏付けも無いのです。
政府は、コロナ患者への医療費の公費支援を一定期間後に廃止するとしていますが、これも大変な問題です。
つづく