昨日の続きです。
税法上も女性の労働者としての権利が軽く扱われている実態を見てきました。
ついでですから、青色申告の事についても少し触れておきたいと思います。
ざっくりと説明しますと、57 条は主に次の理由で創設されたものです。
ア ・個人事業主が家族に給料を支払っても、所法 56 条により必要経費に算入されないが、 実態は同じでも法人成りした場合には必要経費に算入できるという不公平の解消の ため。
イ ・青色申告者は複式簿記による記帳義務を履行しており、適正な給与支払か否かが行政 執行上合理的に認定できるため。
つまり57 条は、たとえ親族間であっても、報酬等の支払対価の適正さやその状況が、帳簿などにより合理的に検証できるのであれば、個人単位課税の原則を尊重し、必要経費に算入することを認めようとの趣旨により創設された規定なのです。
元を正せば、税金を家単位で計算するのか、個人単位の課税にするのかの問題なのです。
個人的な感想では、「ガチガチに古い石頭の親父」タイプの56条。
その56条の抱える矛盾点を何とか時代に合わせて調整しようとしてきた57条という印象があります。
もう少し56条について説明します。
確定申告をされる方はご存知だと思いますが、配偶者の事業専従者控除額は86万円です。
その他親族の同控除額50万円を除いて、すべて事業主の所得に合算されてしまい、従業員としての給料として認められません。
つまり配偶者の年間給料は86万円までと法律により定められているのです。
仮に1日8時間、週5日妻が働いている場合は専従者控除を時給に換算すると、約448円です。
地域の最低賃金をはるかに下回っています。
また、家業に従事する子供たちも「住宅ローンが組めない」「自分名義の通帳が作れない」などの不利益が実際に発生しています。
仮に仕事をしてくれる子供たちに「給料」を渡しても、税務上は同一家族内の金銭の移動だけと捉えられるのです。
ですから銀行の借り入れ等は、子供たちの名義ではできないというわけです。
家族、専従者の人権、労働、自立を否定する56条は大変問題があると研究者も発言しています。
つづく