昨日の続きです。
地方自治体がマイナンバーカードを推進するのには、その裏があるのです。
23年度の地方交付税18兆4千億円のうち500億円分は、マイナンバーカードの普及率に応じて配分されるようになってしまっています。
普及率上位3分の1の自治体は、残る3分の2より配分額が優遇されるのです。
つまり、岸田政権は自治体間で普及率の競争をさせて、普及率の上がらない自治体に事実上のペナルティーを与えるという強権的な姿勢をとっているのです。
このように元はといえば、この問題の本質は政権の姿勢によって生み出されたものなのです。
また学校給食には食育という大事な目標があります。
学校給食を通じての教育や食育が、マイナンバーカードを持つことで、果たして増進されるものでしょうか?
市はおそらくそんなことは念頭にないでしょう。
関係のないマイナンバー取得とへ学校給食の無償化を結びつける事は許されません。
これを行政法では「権限の不当連結」と呼んでいます。
ある目的のために、他の目的のために作られた法律や制度を使ってはいけないのです。
これをすることを「行政の濫用(らんよう)」といいます。
給食費の減免は、マイナンバーカードの有無とは関係なく行われるべきです。
また、マイナンバーカードの取得によって、利益を受ける人が特定されている点でも問題があります。
小中学校や保育園、こども園に通わせている人しか利益を受けられません。
そもそも、子供がいない住民など、条件をクリアしようと思っても、自分の努力ではどうしようもない人もいます。
国や政権の目論見によって、地方自治体が振り回されている実態がよく見て取れます。
しかし、最後にそのとばっちりの尻拭いをさせられるのが、私たち国民であり地域の住民です。
今はまだ全国的な問題になっていませんが、これから同様の方法でマイナンバーカードを推進する自治体が現れかねません。
国が自治体に対して予算配分を利用して「アメとムチ」を使うように、自治体もまた同様に私たちに対応してくる可能性もあるのです。
この問題の背景には、このような国の姿勢があるということも知っておく必要があるでしょう。