昨日の続きです。
すでに皆さんもご存知の事件です。
2021年3月、スリランカ出身のウィシュマ・サンダマリさんが名古屋入管での収容中に亡くなりました。
入管庁の報告書では、ウィシュマさんの仮放免(収容を解く措置)を不許可にした理由が書かれています。
《一度、仮放免を不許可にして立場を理解させ、強く帰国を説得する必要あり》と記載していました。
つまり、日本に留まることを諦めさせるための「手段」として、収容を用いていたことが綴られていたのです。
先述の通り、収容の本来の目的は送還されるまでの「準備」としての措置なのです。
見せしめや拷問の道具として入管が恣意的に使うべきものではありません。
2022年11月にも、イタリア国籍の男性が東京入管で亡くなりました。
これで2007年以降、18人が収容施設で亡くなっていることになります。
うち6人は、この男性を含め自殺とみられています。
こうした状況が国際社会から批判を浴びています。
2020年、国連人権理事会の「恣意的拘禁作業部会」が、入管のこうした実態を「自由権規約違反」と指摘しました。
それ以前から、国連の「拷問禁止委員会」などの条約機関からも、度々勧告を受けてきていますが、国際社会からの声が正面から省みられていません。
2022年11月にも、各国の人権状況を審査している「国連自由権規約委員会」が、入管収容体制の改善を求めています。
それでは他国ではどうなっているのでしょうか?
EU諸国では、身体拘束をするのであれば
①期間制限を設けること
②理由を示すこと
③身体拘束から一定期間後も、それが必要かどうかを、裁判所が判断することになっています。
イギリスでは、収容後の保釈は裁判所(又は準司法的な審判所)が判断しており、判例法理によって収容期間に制限がかかっています。
入管庁は「送還が機能不全に陥っている」と言っていますが、現実は違うようです。
退去強制令が出された人々のうち、殆どの人たちは(それが真の同意であったかに関わらず)送還に応じています。
入管問題などに詳しい高橋済弁護士が、入管白書をもとに作成した資料によると、2010年から19年にかけて、97.3%の人々が送還に応じています。
つづく