昨日の続きです。
妻と2人して急遽、叔父の家を訪問しました。
ずいぶん心配していたのですが、「歩くとしんどい」とは言うものの、顔色もそれほど悪くはなく一安心しました。
私は今後の生活の見通しや、病気になったときや、万一のことがあった時、どうしてほしいのかを聞こうと思っていました。
聞き出すきっかけを探していると、叔父が数枚の書類を持ち出してきました。
「公正証書遺言」です。
聞けば、銀行から万が一の時に備えて公正証書遺言を作成してはどうかと働きかけがあったそうです。
遺言書の作成はA信託という法人が担当し、実際に担当弁護士とも面談して内容を決めたものになっていました。
遺言の内容は非常にシンプルで、「自分が死亡した場合は、すべての財産を妻に譲る」というものです。
子供がいないので、当然と言えば当然ですが、妻も認知症で判断能力がありません。
そのことに関しても弁護士の方で「成年後見人」をつける準備をしているとの事でした。
叔父はそこまで話すと「いつかきちんと伝えなければいけないと思っていた」とほっとするような表情になりました。
甥の私は、このままでは代襲相続でどうしても法定相続人の枠に入るので、万一何かあっても相続放棄をしようと考えていましたから、よくぞ準備を進めていてくれたと正直安心しました。
6月1日に病院の内科の診察を受けることになっていたので、入院の可能性もあると思い、その日も同行することにしました。
送迎をしようと言いましたが、隣に住んでいるご夫婦が病院まで連れて行ってくれるというので、病院で待ち合わせをしました。
時間より少し早めに着いて待っていると3人が現れました。
既に入院の準備を万端にしています。
お隣のご夫婦には初めてお目にかかるので、挨拶をして私の名刺を渡しておきました。
この時はなんとも思いませんでしたが、この1枚の名刺が後々関係者の手から手へ渡っていくことになるのです。
実はこの病院、私が大学卒業後10年余り勤めた病院です。
主治医の院長であるF医師とも面識がありました。
当時は病院設立直後だったのに、東京の大学病院からUターンしてくれて力強く医師集団を引っ張ってくれていた若手のホープでした。
私も、当時は医師担当や医局担当だったので、お互いに独身だったこともあり、よく飲んだり食べたりしたものでした。
診察室に入るなり「あ〜!ハヤトウリくんのおじさんだったのか!いま鍼灸師やってるらしいね」と破顔一笑。
当時、一緒に仕事した何人かの先生が他界された話なども挟みながら病状説明してくれました。
2カ所ほど動脈乖離が診られること、肺に少し水が溜まっていること、軽い気胸があり血圧が高いことなどが指摘されました。
結論は「今すぐ入院してください」と予想通りの展開となりました。
皆さんよくご存知の通り、病院の入院には何かと書類がつきものです。
緊急連絡先と保証人になり、「これはいよいよ最後までお付き合いしないといけないな」と腹が座った気がしました。
つづく