hayatouriの日記

はやとうり の独り言

健康保険証廃止は必要か? その3

昨日の続きです。

 

健康保険証とマイナンバーカードの紐付けについて諸外国の例を見てみましょう。


 まずは、ドイツを見てみましょう。

 

行政手続きで使う番号には、税務識別番号、医療被保険者番号など分野別に複数あります。

 

こうした番号とは別に国民の身分証明書もあり、2010年にICチップ付きの「eIDカード」を導入しました。

 

これらは16歳以上に取得義務が発生します。

 

年金情報や運転免許証登録情報の閲覧、銀行の口座開設などにも使えます。

 

行政が個人を識別するさまざまな番号と、eIDカードのような身分証は分野ごとに管理することになっています。


ここで日本との違いが出てきます。

 

実は番号の共通化を巡っては1970年代に西ドイツで検討されたものの、プライバシー侵害を懸念する声が強く実現しませんでした。

 

1971年に東ドイツでは共通番号を国民に割り当てましたが、西ドイツでは反対に導入を断念したのです。

 

断念の一因には、第2次世界大戦中にナチス強制収容所ユダヤ人に番号を割り振って管理した負の歴史も影響していると言われています。


一方、2021年には行政事務の効率化のため、税務識別番号の利用範囲を拡大する「登録現代化法」が成立しました。

 

税務以外で法律が定める行政サービスにも使えるようにしたのです。

 

ただし同じこの法律では、個人情報保護の対策も定めました。

 

ドイツの国民感情として、一つの番号でさまざまな情報をひも付けることに対し、漏れた場合に思想信条などが丸裸にされるとの非常に大きな危機感を持っているのです。

 

次にフランスです。

 

医療を受ける際に必要な社会保障番号や、税申告義務のある人に割り振られる税務登録番号など、ドイツと同様に複数の番号があります。

 

社会保障番号国勢調査や徴兵の調査を実施するため1941年に導入されています。

 

社会保障番号は医療費の払い戻し、納税者の本人確認、年金や選挙人の管理などにも使われています。

 

コロナ禍では、社会保障番号を利用して国民に給付金が早く支給されました。


1998年には社会保障番号が付いた電子健康保険証(ビタルカード)が作られ、16歳以上の国民に自動発行されるようになりました。

 

ただ、これとは別に国家身分証明カードもあり、別々に運用されています。

 

統合に向けた動きはあるものの、機密情報のセキュリティー対策への懸念などから議論が続いているのが現状です。

 

つづく